ジャズのアドリブ「スキャット」を知ろう | ボイストレーニング VOAT
ジャズらしい演奏ができるようになるのはそう簡単なことではなく、とにかく練習が必要になります。
しかし、楽器を弾くことができなくても、ジャズらしい演奏を今すぐに表現することができる方法があります。
それがスキャットです。
スキャットについての理解を深めて、ジャズのアドリブ・フレーズを口ずさむ練習をぜひ始めてみて下さい。
■ 言葉に意味なんてない!?スキャットって何?
スキャットとは「ラララ」「ルルル」「ダバディダ」「シュビドゥワ」といった歌詞の代わりに意味のない音声で即興的にメロディーを歌うことです。
楽器の代りに人の声の擬音を使った演奏でもあるので、楽器を弾かない人も楽しむことができます。
■ マネしたくなる!有名スキャット曲
(1)Sarah Vaughan/Autumn Leaves
陽気なスキャットでスタンダードの「Autumn Leaves」を歌います。
トランペットの動きを意識したスキャットです。
Sarah Vaughanはジャズボーカリストとして人気が高いです。
(2)Scatman/Scatman John
「ピーッパッパパラッパ」で有名なスキャット界のレジェンドです。
ハイテンションでマシンガンのように繰り出されるスキャットを聴きたい方に最適です。
歌っているスキャットマン・ジョンは吃音症で、それを逆に利用して楽曲に取り入れたそうです。
歌詞の内容も吃音症の子どもたちを励ますものになっています。
(3)Me & My/Dub-I-Dub
デンマーク出身のロリータ姉妹デュオ、ミー&マイのデビュースマッシュヒットナンバーです。
看護婦、バニーガール等のコスプレイメージが話題になり、スキャット・ユーロビートとして世界中でヒットしました。
(4)男と女 Un Homme Et Une Femme
Claude Lelouche監督の1966年のフランス映画「男と女Un homme et une femme」は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しました。
二人の声がスキャットで重なり合ってとても心地の良い曲です。
フランス語と英語の語り合いも新鮮です。
(5)Eddie Thomas Singers/Lucky Streak
エディー・トーマスはアメリカで活躍したアレンジャーです。
男女混成ヴォーカル・グループならではの高速スキャット・ジャズは必聴です。の「」
■ なんて発音してるの?スキャットの種類
(1)ウー(uh、woo、oo)
「ウー」はハーモニーしやすいため、ポップスのバックコーラスにも多く使用されています。
ストレートに「ウー」と歌うだけでなく、「ゥウー」といったような声がかぶさったニュアンスで使い分ける場合があります。
(2)アー(ah)
「アー」にはダイナミックな印象があるので、見せ場となるここ一番というところで使用すると効果的です。
声の個性が明確に表出するので、ハーモニーには向いていません。
あまり多用し過ぎてしまうと、重たい印象を与えてしまいますので、クライマックスを意識して効果的に使用する必要があります。
(3)オー(oh)
「オー」はアーと同じくサビやサビ前などの見せ場となる場面で使用します。
「ウー→オー→アー」とウーとアーの間に挟むことで分かりやすくなります。
(4)ウォー(woh)ウォウ(wow)
ウォーやウォウは、オーと同じように使用します。
瞬間的に盛り上げたり、声の音量を一瞬だけ大きくするような場面でも使用します。
(5)フゥー(fu、whoo)
「フゥー」はウーと似ています。
4小節のフレーズであれば、1小節目だけ「フゥー」にして、残りの3小節をウーにすることがあります。
息を多めにするとより強調されます。
(6)トゥー(tu、too)
トゥーはハッキリと表現されるので、音に輪郭が表れて引き締まります。
強調をより強めたいときは「ドゥー(du、doo)」を使います。
?終わりに
音楽には楽器経験者でないと伝わらない部分や楽しさがあります。
これは、音楽のある種の弱点でもあるのですが、スキャットは音楽経験者でなくても再現することができて、即興的に楽曲のメンバーになることができます。
意味のない言葉で歌っているのですが、決して適当に歌っているわけではありません。
他の楽器を演奏するときのように、音程やリズムの正確さあってこそ、カッコイイ素敵なスキャットになります。